色々と各所でキティ●イアニメとしてその評判をきいていた『機動戦士Vガンダム』だが、先日とうとう全エピソード観終わった。なんせ1年分のTVシリーズ全話(51回)である、見るほうも休み休みほぼ1年掛かりになってしまった。だがおれっちの苦労も報われて噂に違わぬクソ展開とガイキチエンディングの超怪作をたっぷり味わうことができた。例によって以下完全ネタバレにつき注意。
いきなりWikipediaソースだが、このアニメは当初小学生を引き込むため、主人公の年齢を13歳と引き下げたとある。実際は、もっと子供にみえるキャラデザ(まさに小学5〜6年生)である。主人公の名はウッソ・エヴィン(雰囲気はアムロに似ていると思う)、そしてヒロインはシャクティ・カリン(インド系で、やはり陰のないララァ・ソンを思わせる)で、この二人は戦火が広がる未来の地球の片田舎でひっそり暮らす純朴な子供だったのに、宇宙移民の国・ザンスカール帝国軍の侵攻に巻き込まれ、ゲリラ(レジスタンス)「リガ・ミリティア」に身を投じて戦火に巻き込まれていく。この世界では地球連邦は疲弊しており、軍の組織的な抵抗はあまりされていない。その代わり、各地の大企業やら民間組織がバックアップとなって、レジスタンス運動は盛んで、正規軍でないのに最新兵器を持っていたりする。Vガンダムもそのなかの一つで、大量生産されているから、いくらでも機体やパーツがあったりする。ウッソは才能を買われてVガンダムのパイロットになるが、のちに生き別れの両親がレジスタンスであり(特に父は司令官になっていた)、幼いころから軍事訓練を受けていたことが語られる。もちろん主人公だからニュータイプであるw
物語序盤から中盤くらいまでは大型トラックで欧州各地を転戦、その後はリーンホースという宇宙船を母艦として宇宙へ出たり、地球へ帰ったり、また宇宙へ出たり。ゲリラと正規軍の戦いだから、これだがまたなんだかダラダラgdgdと続いてゆく。ウッソたちゲリラには子供が多く、ザンスカールに追い詰められうと難民を装ったり、ゲリラ自体も一般市民のフリをしたりする。その直後にだまし討ちにしたり、主人公にはあるまじき卑怯な作戦も何度もやっていたりするw
ただウッソと仲間たちが難民なのは本当で、ヒロインのシャクティはそもそも最初から孤児の赤ん坊を背負って育てていたりする。この子は最後までゲリラの中で面倒を見てもらっており、さすがのザンスカールも赤ん坊をあやしている少女をみたら、まさかゲリラとは思わないのである(笑)。
だがそのシャクティも中盤でなんとザンスカールの国家宗教の象徴・女王マリアの生き別れの娘であったことが判明し、ザンスカールに拉致されたり、ウッソが奪還したりといった展開に。昨日まで赤ちゃんのおしめを替えていた少女が「姫君」と呼ばれ、マリアの後継者の扱いを受けるようになるのだ。そう、マリアにもシャクティにも特殊な能力があった。
ザンスカールはギロチンを使ってゲリラを処刑するなど圧制と残虐さが特徴で、物語序盤でゲリラのリーダーが捕縛され処刑されてしまい、ウッソが悪夢に悩まされるという展開もある。このあたりから「ん?w」という感じなのだが、そりゃあもう後半に行くに従ってストーリーが狂いっぷりが加速していく。ウッソの母親もVガンダムの目の前で首が飛んで死亡するしねw
なんといっても「狂い」の象徴が、初代ガンダムならセイラさんポジションの、カテジナ・ルースという美しい金髪娘の変貌ぶり。まあVガンといえばカテジナのガイキチぶりで名を馳せたといっても過言ではないので知ってるのは今さらだろうが。
最初は、ウッソがのぞきとストーキングの対象にしていたりするw、裕福な商家の娘として登場するのだ。まあ憧れの君だったわけだが、戦火で家が焼け、ウッソたちと行動をともにするうち、ザンスカールのクロノクルというイケメン士官(シャア的人物)に連れ去られてしまい、最初は警戒していたのだが次第に惹かれて、秘書的な立場→ザンスカール兵として、モビルスーツに乗り込んでウッソたちと戦うようになってしまう。本編では描かれていないが要は男女の仲になって考え方が180度変わってしまったのだ。ザンスカールのファシズムに世間知らずの娘が心酔したってのもあるし、マリアの実弟クロノクルに、寝物語で色々野望を吹き込まれたのだな、とおれっちみたいなおっさんにはわかる。だが、当時の子供たちは驚愕したと思う。なんせ戦争をしかけたザンスカールを憎んでいた娘が、なぜか裏切ってウッソたちにモビルスーツで戦いを挑んでくるのだ。毎度罵声を浴びせつつw
――そこでVガンの代表的名言、ウッソの「そんなのおかしいですよ!カテジナさんっ(泣喚)」が出るんである(笑)。
何度もウッソの前に立ちはだかるカテジナだが、後述の要塞「エンジェル・ハイロゥ」が最後に無力化されてザンスカールが敗北してからも、なんと個人的怨念からウッソを殺そうとする。直前までクロノクルとウッソの一騎打ちを「あははははは!あたしを取り合って殺し合うがいい。勝ったほうを愛してあげるよ」などと煽っていたのだが(本当にこういうセリフが出てくるw)、クロノクルが死亡すると、「あたしは彼を愛していた。償いもできないから殺してほしい」とウッソの前に生身で現れる。さすがにウッソが惚れた弱み、止めようとすると抱きついた拍子にナイフでブスッと……(笑)。直後に更にモビルスーツで殺そうとして失敗するし、もうむちゃくちゃである。
最後にウッソを待ち伏せするが、罠を見抜かれて逆にVガンダムに吹っ飛ばされる。生死不明となるが、物語の最後に衝撃的な姿で登場する。これは当時の視聴者だった全少年に深いトラウマを植え付けたであろう電波展開で、トミノって本当に物凄い男なんだなあ、と半ばあきれながら感心してしまった。
女性キャラといえば、このアニメはやたら姉さん(おばさん)キャラが敵味方とも多く、全員ウッソを「坊や」と呼んだりする(笑)。特に敵のルペシノが典型的で、ウッソを捕獲して縛り上げ、一緒に風呂に入ろうとするのだ。……な、なんだこのToLoveる展開は(笑)。ファラという士官も狂っており、身体中にドラえもんの鈴をつけた姿で登場する。二人とも「坊や、かわいがってあげるよ」とVガンダムのウッソを付け狙うストーカーになるのだ。
だが本当にこのアニメの「狂い」を象徴するのは、ザンスカールの最終兵器「エンジェル・ハイロゥ」であろう。その形は崩れかけたバームクーヘンというか、ドーナツ型宇宙ステーションが同心円状に組み合わさった異様な形であり、まさに名前の通り「天使の輪」なのである。その機能は、ずばり精神攻撃。サイコミュ技術の応用で人間の精神に深い影響を与えて無力化するもので、ソーラーレイや電子レンジ兵器よりはるかに怖い。実際この兵器は使用され、中央ヨーロッパは壊滅状態になる。宗教国家ザンスカールらしく、「凶暴な人間を平和な心持ちにする」という大儀名分のもとに使われたのだが、実態は人間を赤ん坊の状態に戻してしまい、全員がその場に昏倒して動けなくなってしまう。人間どころか、すべての動物でさえ――。この兵器は精神どころか、生物の細胞にまで退行現象を起こさせる強力なものだったのだ。一発の銃声も響かずただ人々が倒れている絵はかなりクルものがあったw
エンジェル・ハイロゥは、実はその中に数万人のサイキッカーを(おなじみの)チューブに入れて電池代わりしている超兵器であった。このサイキッカーたちをコントロールするのが、キールームといわれる中央制御室のマリアである。マリアの力で欧州は壊滅したが、マリアは戦乱の中で死亡してしまう。そして今度はシャクティがキールームに入り、本当の平和を祈ろうとする。その力は母を遥かに凌駕するものであった。マリアは自身の言葉によると穢れすぎており、本来の目的から外れて人々を退行させてしまったらしい(マリア自身は宗教的善の心があった)。果たしてシャクティの純粋な祈りではどうなのか――。このあたりは中々結果がわからず、天使の輪が地球に降りるのと併せて、あまりの恐ろしさにドキドキするのが最終数話である。
この兵器はもともと、地球「浄化」のために造られたものらしい。ザンスカールは全ての人間と動物を殺し、そのあとに殖民するつもりだったのだ。
エンジェル・ハイロゥはサイキッカーとはいえ、普通服の市民を抱え込んでいるため、攻撃すると老若男女の非戦闘員が壊れたチューブから外へ飛ばれるという、よくこれ放送できたなという絵が何度もみられたw ウッソたちも仕方なく攻撃をやめて、シャクティを送り込むことにしたのであった。
最終話であきらかになったことだが、どうやら欧州にも平和が戻っており、シャクティの純粋な祈りによって退行した人々も目覚めたことが暗示されている。エンジェル・ハイロゥ自体は、シャクティの祈りでパーツに分解されてザンスカールの残存勢力とともに宇宙へ還される。
そして戦争が終結した平和な暮らしのなかに、ここで前述のカテジナが登場するのだ――あっと驚くようなやつれた姿で、盲目となり廃人のように。たぶん何度かレイプさえされているかもしれない(物語前半でレイプ未遂の描写もある)。何度も自分たちを殺そうとしたカテジナを、やさしく労わるシャクティ。二人は知らないふりをして別れるが、細雪がふるなか、二人の目には今後の運命を思ってか涙があった。ここの精神的衝撃はおっさんのおれからしてもかなりのものだ。トミノはなんちゅうものを少年に見せるのかw これでエンディングである。
(実際、平成ガンダムのOOシリーズを手がけた黒田某は、Vガンを多感な少年時代に見て人生が狂ったらしいw)
このアニメが放送されたのが1993年。そしてオウムが松本サリン事件を起こすが1994年、地下鉄サリン事件は1995年。こうしてみると、Vガンダムは時代に呼応してしまったアニメだといえるだろう。おれっちの持論だが、優れたクリエイターは否応なく時代と共鳴現象を起こしてしまうのだ。(例えば「まどか☆マギカ」が原発事故と震災とまさにシンクロしてしまったように) ――ま、当時はオカルトと新宗教ブームだったってのもあるけどねw
敵メカがカッコ悪いので(猫目メカ、ヘリコメカ、タイヤメカ、タイヤ戦艦など)あまり話題にならない作品だが、迷っている人はぜひ見てほしい。少し大きなレンタル屋さんならまず置いてある。もし時間がなければ、1巻だけをみて、あとは9巻から見てもいいかもしれない。(途中は、延々おもちゃプロモのルーチン戦闘なので)
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